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２００７年米国ＮＦ年会（ユタ州）報告の抄録 タイトル：ＮＦ（神経線維腫症）の天然ＰＡＫ１遮断剤によるシグナル療法 発表者： マリア・デメストラ（ＵＫＥ、ハンブルグ、独） シャンタ・メサーリ (ＭＢＬ、ウッズホール、米） 李 欄、ビクター・マウトナー、 丸田 浩（ＵＫＥ、ハンブルグ、独） 要旨： ＮＦ１（タイプ１）はＮＦ１遺伝子産物 （ＲＡＳ ＧＡＰ）の機能不全、 ＮＦ２（タイプ２）はＮＦ２遺伝子産物（「メルリン」と呼ばれるＰＡＫ１阻害 蛋白）の機能不全によって、各々発症する稀少難病である。しかしながら、今日 までＮＦの治療に有効な薬剤が一つも市販されていない。最近になって、両タイ プとも最終的には、キナーゼ「ＰＡＫ１」の異常活性化によって、良性あるいは 悪性の腫瘍を発生することが判明した。 そこで我々が数年前から開発しつつある一連のＰＡＫ遮断剤の腫瘍増殖に対する 抑制効果を、動物実験で (ヒト由来のＮＦ腫瘍をヌードマウスに移植して ) 調べてきた。 まず我々は、抗癌作用を持つ天然の環状ペプチドで、ヒストン脱アセチル化酵素 の阻害剤であるＦＫ２２８が、ＰＡＫ１の上流および下流を遮断することを発見 した。 そして、ＦＫ２２８が動物実験で、ＮＦ１腫瘍 (ＭＰＮＳＴ、悪性末梢神経鞘腫） を完全に萎縮させることを証明した（広川弓子ら、２００５）。しかしながら、 この薬剤は目下、各種の癌の治験（フェーズ２）中であり、患者の手に入る（市 販される）までには、少なくとも今後数年かかると思われる。そこで我々は、既 に市販されている天然産物の中からＰＡＫ１遮断作用を有するものを、最近検索 し始めた。 まず、山椒の親戚である中国四川省特産の「花椒」のアルコールエキスがＰＡＫ １を特異的に遮断することを発見し、(ＮＦ１腫瘍と同様 ) ＮＦ１蛋白を欠損す る乳癌の増殖を５０％ ほど抑制することを確認した（広川弓子ら、２００６）。 更に最近になって、ニュージーランド産のプロポリス・エキス（水溶性）で、 「Ｂｉｏ ３０」という商標で市販されている健康補助食品が、動物実験で花椒 エキスよりずっと強力な腫瘍抑制効果を示すことを観察した。 「Ｂｉｏ ３０」（100 mg/kg、腹腔注射、週2回) の処理で、ＮＦ１腫瘍（ＭＰ ＮＳＴ）の増殖、および転移が３ヵ月後、９０％ 近く抑制された。さらに、ＮＦ ２腫瘍（シュワノーマ）の場合は同様の処理により、１ヵ月以内に腫瘍がほとん ど完全に萎縮した。なお、同処理による副作用は全く観察されなかった。詳しい 実験データについては、第２０章（英文論文）の図４ー６を参照されたし。 「Ｂｉｏ ３０」の主な抗癌成分、ＣＡＰＥ（Caffeic Acid Phenethyl Ester) は、Ｇ蛋白「ＲＡＣ」の発現を阻害することによって、ＰＡＫ１の活性化を抑え る。もっとも(水に不溶な) ＣＡＰＥのみでは、抗腫瘍作用がかなり弱く実用性に 乏しい。しかしながら、「Ｂｉｏ ３０」中には、ＣＡＰＥを溶かす脂質が含ま れているばかりではなく、(ガランギンやクリシンなどの) 数種の他の抗癌成分が 含まれているため、それらとＣＡＰＥとの相乗効果によって、強い抗腫瘍作用が 発揮されることがわかった。 以上の動物実験データに従えば、(体重５０キロ前後の) 成人の場合、毎日「Ｂｉ ｏ ３０」５ｍｌの経口投与によって、ＮＦ腫瘍に対する治療効果が十分にみら れると予想される。従って、一日当たり約１２０円の治療費で済む計算になる。 本「プロポリス」研究は一部、下記からの研究補助金によって、サポートされた。 ＤＦＧ（ドイツ学術会議) およびＮＰＯ「ＮＦ ＣＵＲＥ Ｊａｐａｎ」 「Ｂｉｏ ３０」は、ニュージーランドの「マヌカ健康食品」から供与された。 文責： 丸田 浩 （米国ＵＭＢ客員教授)、 maruta19420@mac.com
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Modify 2007. Jun.23 第1.0版